小粒ではありますが、いわば「力持ちのエンジニアリング会社」 |
自動化ラインを開発多種多様な企業がある中で、事業内容が最もつかみにくいのがエンジニアリング会社。製作装置が月ごとに異なり、しかも装置内容がライン全体であったり、ラインの一部であったりし、何を主体にする企業なのかが不鮮明。同社もそのうちの一社で、事業内容をしいて一言で表現するなら 「機器製作事業」 ということになるのだろうか。事業内容の説明が難しい分、事業に合った社名もつけにくい。同社は1999年3月まで「湖南機工」だったが、誰でもが親しみをこめて呼ぶ「コナン」に変えてしまった。装置製作の中でも得意としているのが、メカニカルなタイプのもので、自動化や省力化装置。機器単体の場合もあれば、数十メートルのラインをそっくり製作することもある。これまで製作した最大のラインは優に五十メートルを超し、最小のものは指先に乗る特殊ねじの加工だった。製作装置はすべて受注で、その大半はそのときだけの一品製作。時には複数台の注文もあるが、そんなケースはまずまれだ。 |
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受注製作だけに、仕事のポイントは発注先の要望をどこまで汲み取り、でき上がった装置がいかに相手を満足させられるかにある。そのために受注時に綿密な打ち合わせを行うが、中には欲しい装置の機能と能力、仕様だけをラフな図面で説明するだけの場合も。こうした時は、逆に同社側から設計提案し、納得を得て契約する。こうした形の受注は量産ラインなどで皆無だが、ちょっとした人手作業を自動化、省力化する場合に多い。逆提案できるのは、機器や装置を数多くこなしたベテランの辻智志部長がいるため。辻部長は機能と能力、仕様を聞けば、たいていのものならすぐ作図できる技量があるという。
エンジニアリング事業で現在、最も求められているのが、納期の短縮。発注側にかつてのような余裕がなくなり、必要間際にならない限り発注の動きを起こさなくなった。この結果納期が短くなり「急いで納めてほしい」が常識となっている。短納期に対応するには設計と製作工程を思い切り圧縮するしかない。同社の場合、辻部長がCAD操作の達人で、昼夜を分たず製図に取り組み、設計時間を大幅に短縮する。ドラフターなら1ヶ月はかかっていた設計図作成時間をCAD利用で3分の一に短縮できるようになった。が、CADを使うと作業は早いが、仕上がりに「味」を失うのが難点。つまり手書きなら設計図面に微妙な変形や、図面背後のイメージを表現できるが、CADではこれが難しい。だが、ベテラン部長は製図を急ぎながらも、見事な味付けで相手を感心させるという。遠藤社長は「当社は鉄の重さを知った人が図面を引く」と胸を張る。 |
新分野にも備え |
設計工程の時間短縮に対し製作工程の作業圧縮は難しい。どう考えても、人手を増やすか外注先を増やすかしか工期が短縮できないからだ。同社はこうした対応も当然するが、辻部長の指示で、詳細図面がなくても製作できる部分は図面作成と並行して作業に取り組み、仕上げまでの時間を短縮、短納期要請に応える。一般的には、図面を作成して製作に入るので図面と製作の並行着手は考えられないが、同社は設計と製作部門に距離がなく、ほぼ一体体制にあるためこうした荒業がこなせるように、中西常務があとの加工、組立、据付まで一切段取りよくこなしていく。また現場技能者も作図でき、機器製作や作業短縮で貴重な意見を出し、貢献するという。一体感を持ち、機転を生かせる小所帯の利点を遺憾なく発揮して、競争力を高めているようだ。こうして最近、製作、納入した実績は大型設備で自動販売機のドア組み立てライン、かんビールの実かん搬送ライン、住宅用フェンス加工ラインなど。自販機のドア組み立てラインは料金や商品名を表示した表パネルを本体に組み込む装置で、ライン延長は五十メートルを超えた。このほか自販機では装置本体を組み立てる「自販機反転装置」の実績もある。
同社が今後力を入れようといるのが「PITガーデン」と呼ぶ簡易庭。地元のビジスメッセに2年連続出品し人気を集めた商品で、エンジニアリング技術を駆使して開発。目下需要を手探りする段階。遠藤社長は「類似品がすぐ出て、これと競争するのは大変だが、商品化を求める声があり、近く本格的に生産を立ち上げたい」と意欲的。 |
平成13(2001)年滋賀県・(財)滋賀県産業支援プラザ発行
「滋賀ものづくり60社」より |